電子タバコメーカーJUULの可能性は未知数
12月20日木曜日、Altria(NYSE:MO)は次のような発表をしました。
「Altriaは、その完全所有子会社であるAltria Enterprises LLCを通じて、総額128億ドルのJUULの株式を購入した。」と。
その結果、同社はJUULの発行済株式の35%を所有することになります。
JUULと言えば、主に米国の若者の間で人気の電子タバコメーカーであり、加熱式タバコでシェアを伸ばそうとするAltriaにとってJUULは目の上のタンコブのようなものでした。
ところが、今回の株式取得によって、Altriaは電子タバコの事実上のリーダーの一部所有者となり、70%以上の市場シェアを獲得することになります。
それにも関わらず、このAltriaの株式取得の発表に対する株式市場の反応は、Altriaの予想に反してネガティブなものになりました。
なぜ市場はAltriaがJUULに投資したという事実を好まないのか
問題は、電子タバコ市場が現在悪名高いものであり、しかもJUULがその圧倒的な市場シェアを永遠に維持できるという保証がないことだと思います。
電子タバコの歴史は、とても浅いです。
2003年に中国の薬剤師Hon Likがタバコ喫煙をシミュレートするためにニコチン処理液を蒸発させることができる最初の電子タバコ装置を発明した時からスタートしたので、電子タバコ業界全体はたった15年目に過ぎません。
JUULが今日人気があるからといって、それが新しいものに置き換えられない保証はどこにもありません。
特に、JUUL自体がFDAから規制の対象にもなっています。電子タバコ自体が安定した市場とは言えないです。
シーゲル教授の言うところの「頼むから発明をやめてくれ!」
Altriaは本質的にハイテク投資である電子タバコを作るために自身の時価総額のほぼ14%をギャンブルとも言える投資をしました。
結局のところ、AltriaはJUULに投資するための128億ドルの資金を抱えていません。
S&P Global Market Intelligenceのデータによると、銀行の現金は24億ドルに満たないので、この買収のためにAltriaは銀行から借り入れる必要があります。
JUULを購入すると、短期間でAltriaの成長率が上がる可能性がありますが、確実にAltriaの債務問題を悪化することとなります。
そして、今日までAltriaはJUULの収益性やフリーキャッシュフローについて多くの情報をまだ明らかにしていないため、この買収がAltriaの現金生産の衰退の問題を解決するかどうかはまだわかりません。
来年度以降のキャッシュフローに注視したいと思います。